多くのパソコンに標準でインストールされている Excel。
セルを方眼紙のようにすると、簡単に申請書を作ることができ体裁もきれいに整えることができるので、社内の申請業務などの場面でよく使われます。
そんな便利な「Excel 申請書」ですが、実は結構効率が悪いってご存知でしたか?
手動での申請・承認、ファイルの共有やバージョン管理……日々の業務でストレスを感じる場面は一度は経験があるのではないでしょうか。
本記事では、Excel申請書のよくある課題と、それに代わる運用改善のヒントをご紹介します。
Excel 申請書が業務効率を下げる3つの理由
1. 印刷プレビュー通りに印刷されない
申請書を作成することに限らないのですが、Excel の印刷プレビューで表示されたとおりに印刷されることは少ないように思います。
あなたも一度は経験したことがあると思いますが、Excel の印刷プレビューで枠内にしっかりと文字が収まっているはずなのに、実際に印刷してみると見切れてしまっている。ということはないでしょうか?
冒頭の文字をセルに入力し、紙に印刷したら「クセルは印刷するま 信じるな」になってしまうミス。Excelの画面上ではセル内に全文がちゃんと表示されていますが、印刷すると両端が切られてしまう現象があることを、身をもって教えてくれています。Excelで見た目を整えようとしちゃうと、余計に起きやすくなるのがやっかい……。
出典:ねとらぼ
申請書に入力して印刷するということを考えると、文字の長さやセルの幅が変更される可能性があるため、きちんと印刷されない可能性が高まります。
実際に印刷してみないと、思った通りのレイアウトになっているかどうかわからないので、作成→印刷→修正→印刷→確認→更に修正といったように申請書を作成するときも、実際に記入するときも非常に手間がかかります。
2. 項目の数を変更しづらい
Excel を方眼紙のように使った申請書で、いわゆる神Excelと呼ばれる申請書に起きがちです。
Excelを方眼紙のように使用する申請書は、一見便利に見えますが、それはよく考えてみると、作成や編集に多くの時間と労力が必要となります。
まず、正確な見た目を維持するためには、細かいセルの調整が必要となります。列や行の幅を変更すると、全体のレイアウトが崩れてしまうこともあります。加えて、一貫性のある体裁を保つためには、各セルのフォント、色、罫線などを個々に設定する必要があります。
さらに、こうした申請書は更新が困難です。
一部の情報を更新すると、それに伴う他のセルの調整が必要となることがあります。これには、関連するセルの再配置、新しいデータの追加、既存のデータの削除などが含まれます。
緻密に作成された書式で、項目を追加したり、減らしたりすると用紙サイズにきちんと収まるように調整しなければならない場合があります。これを調整するのは時間もかかりますし、上述した印刷プレビュー通りに印刷されない問題と相まって、何度も印刷して見た目を調整しなければなりません。
3. 2ページめ以降が見落とされやすい
複数ページに渡って記入が必要な申請書の場合、シート1 に1ページめ、シート2に2ページめというような作りになっていることがあります。こうした作りになっていると、シート1だけ記入し、シート2以降が見落とされやすくなり、記入漏れ、申請不備といったことが起こります。
また、シートをスクロールしなければ確認できない配置に、記入欄が存在するパターンもあります。
例えば次のような申請書があったとします。

作業を実施する際、この表だけを見ると作業の件数は1件に見えますが…

下の方にスクロールすると、変更作業に関する表があり、そちらにも作業の依頼が記入されています。
極端な例にも思えますが、Excel で表示される範囲は人それぞれですし、申請書の作りによってはこうしたケースは意外とあります。
このまま気づかずに作業を進めると、作業漏れや手戻りが発生する原因にもなります。
申請書は Word で作るのがオススメ!
申請書のような書類は Word で作ることがオススメです。
Excel がインストールされたパソコンなら Microsoft Office がインストールされていると思いますので、Word も使えるはずです。Word は文書作成ソフトなので、申請書作成にはうってつけです。
Excel で起きがちな印刷プレビューと印刷物がずれるということもありませんし、2ページめ以降を見落とすということもありません。
Word で申請書を作成するに際して、こんなときはどうするの?といったご質問について回答したいと思います。

Word でもExcel のように表で集計したい
使い勝手は Excel ほどよくはありませんが、Word の表でも集計は可能です。こちらのリンクにあるように、表に計算式を埋め込んで集計ができます。
出典:Microsoft サポート | 表内の列または行の数値を合計する
計算式を埋め込みたいセルを選択し、レイアウトタブにある「計算式」をクリックします。


計算式を入力します。画像はみかんの単価と売上個数を掛け算する計算式です。


注意: 値を更新しても自動で再計算されません
Word の表による計算で注意が必要なのは、Excel のように値を変更しても計算式が自動で再計算されないことです。再計算するには画像のように、表の左上の十字矢印をクリックしてセルを全選択し「F9」で再計算します。




申請者に表を埋めて申請して貰う場合には不便になりますが、表計算が必要な箇所を別添資料として Excel で用意し、文章での記入が必要な部分を Word にするといったように、適材適所でツールを選択することも重要です。



会社名や所属を記載するときに、文章の開始位置をずらしたい
Word で文章の開始位置を調整する際に、スペースやタブなどを使って調整すると文言を修正したりすると、簡単に体裁がずれるので、ルーラーやインデント、文字揃えを使いましょう。
例えば、こちらの動画では上の段の年月日は右揃えで体裁を整えたもので、下の段はスペースで体裁を整えました。ちょっと見ただけでは同じような体裁に見えますが、実際に年月日を入力すると、どちらが入力しやすいか、体裁が整っているかは一目瞭然です。
右揃えにすると文字を右端に揃える体裁になりますが、文字の先頭を揃えつつ一番右に寄せたいという場合にはルーラーを使うと簡単に体裁を整えることができます。ルーラーが表示されていない場合は、「表示」タブで「ルーラー」にチェックを入れます。




例えば、「所属」と「氏名」を同じ位置から始まるように揃えたい場合に、右揃えにするとそれぞれの文字列の終端が揃ってしまいます。




こちらの動画のように、所属と氏名を選択し、文字列の開始位置をルーラーで調整することで体裁を整えることができます。
申請書を利用する業務をもっと改善するには?
さらなる改善を目指すならば、Google Forms や Microsoft Forms のようなオンラインフォーム作成ツールの活用が理想的です。これらのツールは、手間のかかる手動のデータ入力と比較して、多くのメリットを提供します。
まず、これらのフォームはユーザーが入力エラーを減らすのを助けます。
入力が必須なフィールド、数値や日付などの適切な形式で入力されているかの確認、入力できる数値の範囲を制限したりなど、入力した値が適切かどうかを自動的にチェックできます。これにより、データの一貫性と正確性が保たれます。
また、オンラインフォームを利用することで、申請者が古い版のフォームを使う心配がありません。利用者は常に最新のフォームを使用するので、こちらも申請内容の一貫性と精度の向上が期待できます。
さらに、これらのツールは申請内容を自動的に Excel などのスプレッドシートに転記する機能を持っています。これにより、データの分析や追跡、レポート作成が容易になります。手作業での転記やデータ入力と比較して時間と労力を大幅に節約できます。
まとめ
Excel が悪いと言うことを言いたいわけではありませんし、さまざまな申請業務を行う上では Word がベストか?というと、上述したフォーム作成ツールなどもあるので、決してそうではありません。
また、入力項目が多い内容だと申請フォームでも入力の手間がかかる場合があり、そうした場合は専用のソフトウェアの導入が望ましい場合があります。
あくまで適材適所でツールを見極め、使いこなすこと、そして既存の業務のあり方に疑問を持つことが効率化の第一歩だといえるでしょう。

