PCやソフトの数を把握できないとどうなる?よくある4つのリスクと年間コスト

『退職者が使っていたPCが倉庫に眠っていた』
『実は誰も使っていないソフトのライセンス料を払い続けていた』

これは決して珍しい話ではなく、多くの企業で起きている「資産を把握できない問題」の典型例です。
PCやソフトの数が正確に管理できていないと、無駄な出費だけでなく、セキュリティや業務効率に深刻な影響を及ぼします。
この記事では、資産が正確に把握できないことで起こる4つのリスクと、実際にかかり得るコストについて解説します。

IT 資産を管理するための基礎知識についてはこちらの記事もご覧ください。

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目次

なぜ資産を正確に把握することが難しいのか

Excel で管理台帳を作成して IT 資産の管理を手軽に行うことができますが、PCやソフトの数を正確に把握するのは、一見シンプルに思えても実際には多くの企業で難航します。原因は以下のようなものです。

管理台帳の更新にタイムラグがある

新しいPCを購入したり、退職者の端末を返却したりするたびに台帳更新が必要ですが、リアルタイムに反映されることは稀です。その間に現場の実態と台帳の内容が食い違っていきます。

入力ミスや記録漏れが起こりやすい

シリアル番号やソフトのバージョンを手作業で入力すると、数字の打ち間違いや記入忘れが発生します。こうした小さなミスが積み重なると、資産台帳全体の信頼性が下がります。

情報の収集に手間がかかる

PCの台数だけでなく、OSのバージョン、インストールされているソフト、利用者の部署など、資産情報は多岐にわたります。これらを一つひとつ人手で確認するのは膨大な労力が必要です。

担当者に依存しがち(属人化)

Excel台帳を作った人しか更新ルールやフォーマットを理解していない場合も多く、担当者が異動や退職すると更新が止まってしまうケースがあります。

つまり正確な管理が必要な業務がブラックボックス化してしまい、「最新の状態を正しく反映する」こと自体が困難となり、実態と台帳が乖離していきます。

Photo by Tommy Diner on Unsplash

数台のPCだけであれば Excel台帳でも運用は可能かもしれません。


しかし、企業の成長に伴い資産が増加すると、正確な管理は困難になります。とりわけ上場を視野に入れる企業にとって、IT資産の正確な管理はコンプライアンス体制を築くうえで欠かせない要件です。

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資産を正確に把握できないことで発生する主なリスク

IT 資産を正確に把握し管理することが非常に難易度の高い業務であることがご理解いただけたと思います。次に適切に管理できていないことでどのようなリスクが起こり得るかをご紹介します。

セキュリティリスク

  • 未管理のPCやソフトは更新がされず、脆弱性が放置される
    脆弱性のあるバージョンが使われていることに気付けないことで、ランサムウェアやサイバー攻撃の標的になりやすい。
  • 攻撃者にとって「見えない資産」は格好の標的
    サイバー攻撃や社内への不正アクセスの踏み台にされる恐れがある。

関連記事でも取り上げましたが、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が毎年公開している情報セキュリティ10大脅威によると、ランサムウェア感染やシステムの脆弱性をついた攻撃は、多くの場合OS やソフトウェアの更新が適切に行われていないことが原因で発生しています。

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無駄なコスト

資産を正確に把握できていないと、実際には利用されていないPCやソフトにコストを払い続けてしまう可能性があります。

  • 遊休PCの放置
    退職者が使っていたPCや部署移動で余った端末が倉庫や執務室のキャビネットに眠り続け、リース料や保守料がそのまま発生。
  • 未使用ソフトのライセンス料
    利用者がいないにもかかわらず、サブスクリプションが更新され続ける。
  • 二重購入の発生
    台帳に未登録のため既存資産が見えず、必要以上に新規購入してしまう。

こうした「気づかれない無駄」は年間で数十万円〜数百万円に膨らむ可能性があり、特に中小企業にとっては大きな負担となります。

業務効率の低下

資産情報が不正確だと、トラブル発生時の対応スピードに直結します。

  • 端末特定の遅延
    社員から「PCが不調」と報告を受けても、利用者と端末が正しく紐付けられていないため、該当機器を探すのに時間がかかる。
  • 工数の浪費
    IT担当者が現場を回って機器を確認するなど、余計な工数が日常的に発生。
  • 本来の業務への影響
    セキュリティ施策やシステム改善といった重要業務に時間を割けなくなり、組織全体のITレベル向上が停滞する。

結果として「小さなトラブルが長引く」「IT部門の疲弊」という形で、業務効率全体を下げてしまいます。

監査・コンプライアンス対応の困難

ライセンス監査やセキュリティ認証においては、正確な資産台帳を提出できるかどうかが問われます。

  • ライセンス監査での指摘
    ソフトの利用台数と契約数に差異があれば、過去にまで遡って不足分を一括購入することになる。
  • 認証審査への影響
    ISMSやPマークなどの取得・更新時に「資産の実態が把握できていない」と指摘されると、対応に多大な工数がかかる。
  • 余計なコストの発生
    急なライセンス追加購入や、外部監査対応のための人件費で数十万円単位の出費になることもある。

このように、資産管理が不十分だと「普段は見えないコスト」が監査や審査のタイミングで一気に顕在化し、経営リスクに直結します。

放置するとどのくらいのコストが発生するのか

PC やライセンスの放置、未管理によるコスト

実際に不適切な資産管理で PC やライセンスが放置されていた場合、どのくらいのコストが発生するのか例をご紹介します。

事象想定ケースコスト例内訳
遊休PC放置退職者が使っていたリースPC5台を1年間放置約42万円/年リース料:月6,500円 × 5台 × 12か月=39万円+管理工数3.6万円
未使用ライセンスMicrosoft 365 のサブスクリプション5本が未解約約15万円/年サブスク:2,500円/月 × 5本 × 12か月
Office ライセンス不足分の請求契約10本に対し実際は15本使用を6年間継続 → 監査で発覚約90万円不足5本 × 3万円 × 6年間遡及
トラブル特定の遅延月5回 × 半日業務停止約96万円/年業務停止1回あたり:業務停止の影響1万円+復旧工数6,000円 → 月5回で8万円×12

規模が小さな企業でも、年間 100万円前後の無駄コスト が発生する可能性があります。

突発的な出費リスク:ネットワーク機器やNASの場合

PCやソフトだけでなく、NASや複合機、スイッチルーターなどのネットワーク機器も重要なIT資産です。しかし、資産管理が不十分だと「存在はするが台帳に載っていない機器」が発生し、保証や保守契約の更新を見逃してしまうことがあります。

  • 保守更新の失念:NASや複合機の保守契約をうっかり更新し忘れる
  • 更新時期の見落とし:耐用年数を超えて稼働させてしまい、交換計画を立てられない

その結果、次のような事態を招きます。

  • NASやスイッチの保証が切れたまま稼働し、故障時に高額な交換・修理費用が発生する
  • 緊急での復旧対応や代替機の調達が必要になり、数十万円〜数百万円の突発的出費になる
  • データ消失リスクに直面し、場合によっては業務停止や顧客対応コスト、データ復旧費用も発生する

これは「放置コスト」とは別に、予期せぬ高額コストを招くリスクとして意識しておくべきです。

解決の方向性

ここまでIT資産を正確に管理できていないことが大きなリスクを孕んでいること、管理しようとしても正確に管理することが非常に難しいことについて述べてきました。「手作業のExcel管理では正確な把握が難しい」ことは明白です。

解決のためには次のような仕組みが求められます。

  • 自動での情報収集
    PCやソフトの情報を自動で取得し、資産管理データベースに登録できる仕組みが必要です。これにより実態と管理されている情報との間に生じる乖離を解消できます。
  • 情報の可視化
    資産数や更新状況をひと目で確認できる仕組みが必要です。自動で情報収集が行われていても、エラーで処理が止まっていたり、新しい資産が登録されていなかったりすれば意味がありません。リアルタイムで状況を把握でき、異常にすぐ気付ける仕組みが必要です。

結論:IT資産管理ツールの活用が必須

これらを実現するには、専用のIT資産管理ツールを導入するのが最も効果的です。

  • 自動収集機能で更新漏れや記録ミスを防ぐ
  • ダッシュボードでの可視化で状況を把握しやすくする
  • 導入規模に応じた柔軟な運用を可能にする

SaaS型であれオンプレ型であれ、自社の規模や運用体制に合ったツールを選定することが重要です。


そして重要なのは、最初から全てを網羅的に管理しようとする必要はないという点です。少数台を対象に管理の仕組み導入して検証し、徐々に範囲を広げることで、無理なく精度の高いIT資産管理体制を築くことができます。

まとめ

資産の数を正確に把握できないことは、

  • 遊休PCや未使用ライセンスによる 無駄なコストの発生
  • 更新漏れによる セキュリティリスクの増加
  • 端末特定ができないことによる 業務効率の低下
  • 監査・認証での指摘につながる コンプライアンス対応の困難

といった問題を引き起こします。

さらに、NASやネットワーク機器などの管理漏れは、数十万〜数百万円の突発的な出費につながることもあります。こうしたリスクは、Excel管理台帳を使った運用の延長では防ぐことができません。

専用のIT資産管理ツールを活用することで、自動収集・可視化・正確な資産把握が可能になります。そして大切なのは、最初から完璧を目指す必要はないということです。

少数台から試してみて、徐々に運用を広げることで十分に改善が始められます。Linkup ではスモールスタート可能な SaaS 型の IT 資産管理ツール GLPI の無料デモ環境を提供しています。

ぜひこちらから、自社の資産を「見える化」する体験をしてみませんか?

さらにIT資産管理の全体像や他の課題について知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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